既製金属冠(小児歯科学)
春巻春巻

この記事では乳歯既製金属冠について解説していきます。最近はおとな向けの既製金属冠も保険適用になったので教科書にはないそちらの情報も足していきます。

乳歯既製金属冠とは

乳歯金属既製金属冠(英語: preformed crown)とは、乳歯に専用に使われるクラウンのことで、既に形作られているクラウンをはめるだけの術式なので簡便で、非協力的な小児患者にも楽に使えるのが主なメリットとして挙げられます。

実際の形はこのようなものです。

(通販サイト eBayより画像を拝借しました)

メリットとデメリット

メリットとデメリットとして以下のようなことが挙げられます。

メリット

  • 即日修復が可能である
  • 歯の切削量が通常のクラウンより少ない(辺縁形態がナイフエッジである。)
  • 多歯面のう蝕に適応できる
  • う蝕罹患性の高い患者に有効である。
  • 障害児・非協力的な患者に有効である
  • クラウンループやディスタルシュー保隙装置の一部になる
  • 保持が良好である

デメリット

  • クラウンへの自由な形態の付与は困難である
  • 金属色が出るので審美性に欠ける
  • 歯頚部の適合は技術が必要である
  • 咬合面調整が困難である

適応症

適応症は以下の通り幅広く使えます。

適応症(大前提として基本的には乳歯です!)

  • 多歯面のう蝕
  • 歯冠の崩壊が著しい歯
  • 歯髄処置をした歯(根管治療をすると乳歯は折れやすいので補強の意味で既製冠を使うことがあります。)
  • エナメル質形成不全、象牙質形成不全
  • 外傷による歯冠破折
  • 保隙装置の支台歯
  • 歯ぎしりなどによる咬耗が著しい歯

術式

写真があまり用意できないのですが、箇条書きで簡潔に書きます。

術式

  • 表面麻酔と局所麻酔
  • ラバーダム防湿
  • 支台歯形成(辺縁はナイフエッジ、頬面は2面形成で)
  • ラバーダム防湿の除去
  • 咬合面の再形成
  • 既製金属冠の調整
    • 既製金属冠のサイズの選択
    • 辺縁の切除(金冠ハサミを使う)
    • 冠の軸面と辺縁の形態形成(軸面→ゴードンプライヤー、レイノルドプライヤー、ムシャーンプライヤー、豊隆形成鉗子など 辺縁→クリンピングプライヤーなど)
    • 咬合調整(咬合面調整鉗子)
    • 辺縁の研磨
  • セメント合着
  • 余剰セメントの除去
ゴードンプライヤー
ゴードンプライヤー
(通販サイトアリババより画像を拝借しました)

大人の既製冠

パーマクラウン
(株式会社モリタ パーマクラウン)

去年からモリタから発売されたパーマクラウンという永久歯の既製冠が保険適用になりました。これは障害者や、高齢者、非協力的な患者、認知症の患者に即日修復をしたい時に有効ということで保健収載されたようです。ですが一部では即日修復を安易に行いすぎるのは歯科医師の「手抜き」を助長するという声も一部では聞かれますので、本当にその患者が即日修復を必要とするような患者(認知症など)なのかを見極める必要があるといえるでしょう。