小児の口腔内軟組織の疾患(小児歯科学)
春巻春巻

この記事ではヘルパンギーナ、手足口病、麻疹といった小児歯科の範囲内の軟組織の疾患について書きます。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナ(英語: Herpangina)はコクサッキーウイルスA群の感染による疾患です。ほとんどは小児が罹患し、日本では夏に多く発生します。(豆知識ですが、熱帯では一年中発生するみたいです。)38℃以上の高熱が出て口腔内の後方(口峡部)に小さい水疱ができるのが特徴的です。また、口峡部や咽頭の痛みも伴うので摂食障害や脱水症状も出ることがあります。

ヘルパンギーナ所見
ヘルパンギーナの水疱

ヘルパンギーナには対症療法しかなく、鎮痛薬のアセトアミノフェンが適応になります。通常は1~2週間で寛解します。

 

手足口病

手足口病(英語;Hand, foot and mouth disease ; HFMD)はコクサッキーウイルスやエンテロウイルスの感染症です。(ヘルパンギーナのコクサッキーウイルスとはサブタイプが違うものが感染します。)疾患の名前の通り、手、足、口に症状が起きますが、口に症状が出る確率は少ないとされています。手足の末端のと口腔内前方部の小水疱が特徴的で、熱は38℃を超えないことが多いです。

つまり、手足口病とヘルパンギーナとの鑑別は以下のようなことが使えます。

  • 38℃以上の高熱→ヘルパンギーナ 38℃以下の熱→手足口病
  • 水疱が口峡部→ヘルパンギーナ 水疱が口腔内前方部→手足口病
  • そもそも手足に水疱がある→手足口病
手足口病の足の水疱
手足口病の足の水疱

麻疹とコプリック斑

麻疹の症状

麻疹(英語;measles)は麻疹ウイルスの飛沫感染による感染症で、二峰性発熱(高熱が二回出る)が特徴的な疾患です。一度目の発熱をカタル期といい、この熱が下がる時に小児歯科的には重要な所見となるコプリック斑(英語;Koplik spots)が診られます。コプリック斑は頬粘膜にできる粟粒大の水疱でアメリカ人の医師H.Koplikが発見したことからこう名付けられています。この小水疱を発見したらこの後また発熱が有るので専門的な知識がなければ小児科に対診するのが良いのでしょう。

コプリック斑
コプリック斑

その後、再びの発熱と全身に丘疹ができる発疹期と回復期を経て、完治します。時系列でまとめると以下のようになります。

○カタル期(2~4日) 38度の発熱 → 解熱後にコプリック斑が出現する。

○発疹期(3~4日) 再び高熱となり全身に紅丘疹ができる。

○回復期(7~9日)

麻疹は終生免疫で一度かかれば一生かからないと言われています。

麻疹が小児から学生の疾患になっている?

麻疹は一度かかると終生免疫を得ることが出来ますが、ワクチン接種者の上昇に従って麻疹の罹患者は減り、実際に「罹患して抗体を得た」人の割合は少なくなりました。よって、ワクチンによる抗体が弱い場合ワクチン接種から10~20年後の学生の時に麻疹に掛かることが多いと最近はされているようです。

また、 2015年3月に日本はWHOより麻しんの排除が達成されたとの認定を受けているので、日本国内に住むもので麻疹に掛かった人は海外渡航歴が最近にあるか、海外渡航歴が最近にある人と最近接触したかのどちらかしか掛かることはないとされています。

このことも知っておけば鑑別に使えるかもしれないですね。(この章の情報は厚生労働省のホームページから情報を引っ張ってきました。厚生労働省  麻しんについて )