高齢者と薬物動態、多剤併用
春巻春巻

この記事では高齢者の薬物動態や多剤併用の問題について書きます。高齢者関連の問題は国家試験に頻出ですから、抑えておきたいところではありますよね。

高齢者の薬物動態

そもそも薬物動態とは?

薬物動態(学)(英語: pharmacokinetics)とは、簡単な言葉でいうと「体内に取り込まれた化学物質(=薬)がどのようにして動いているか」を調べている学問です。口から入った錠剤がいつ血中に取り込まれるのか、いつ最高の血中濃度に成るのか、血中にあるタンパク質とどれくらいくっつくのか、脂肪の中に貯まるのかを調べていています。薬物動態を調べることで、正しい投与量や正しい投与間隔、正しい投与方法(経口摂取、静脈内投与など)が分かるようになるので大事な学問です。

高齢者の薬物動態の実際

高齢者は体内の仕組みが普通の大人と変わっていく部分があるので、薬物動態も変わっていきます。具体的には以下のように変わっていきます。箇条書きで書いてみました。

  • 肝機能・腎機能の低下 → 生物学的半減期(T1/2)が延長
  • 体内脂肪率の増加 → 脂溶性薬物の蓄積増加
  • 血中アルブミン量の減少 → 遊離型薬物の増加により、薬理作用増強
  • 胃酸分泌量の減少・胃内pHの上昇 → 胃からの薬物吸収が変化
  • 腸管壁血流量の減少 → 腸管からの薬物吸収低下
  • 多剤併用 → 相互作用に注意

以上のような薬物動態の変化があります。次の章では箇条書きの最後に触れた「多剤併用」について書いてみることにします。

多剤併用

多剤併用(英語: polypharmacy)とは多数の医薬品が処方されている状態のことを言います。わかり易い言葉でいうと「薬漬け」です。多剤併用の状態になると、体内では医薬品が相互作用を起こし、新たな副作用がでることがあります。

薬の飲み合わせには十分に注意して処方する必要が歯科医師、医師にはありますが、高齢者は更に注意する必要があります。

特に注意するべき副作用はふらつきや転倒です。

ふらつき、転倒は薬を5つ以上使用する高齢者の4割以上に生じているのですが、転倒による骨折をきっかけに寝たきりなることが有る。更に寝たきりに成ることをきっかけとして認知症になることがあります。

他の多剤併用による副作用としては物忘れ、うつ、せん妄、食欲低下、便秘、排尿障害などが挙げられます。