歯科用合金を元素別に学んでみよう
春巻春巻

この記事では歯科用合金を一通り解説した後、それを元素別に特徴を捉えてみるということをしてみたいと思います。

歯科理工学で学ぶ合金ってどんなのがある?

歯科理工学(大学によっては「歯科材料学」)では合金がテストのヤマであることが多いようですね。

よって合金を学ぶことは点数アップに直結します。まず歯科用合金にはどのようなものがあるか復習してみましょう。

歯科用合金 重要なもの一覧
  • 金合金
    • タイプ1~4金合金
    • カラット別金合金
    • 白金加金
    • 陶材焼付用金合金
  • 銀合金
    • 金銀パラジウム合金
    • 低融銀合金
  • 非貴金属合金
    • コバルトクロム合金
    • ニッケルチタン合金
    • チタン合金、純チタン
    • ステンレス鋼

これらの中で重要なものを取り上げて学んでみましょう。

タイプ1~4金合金

ここで重要なイメージは「タイプ1のほうが金が多くて、タイプ4のほうが金が少ない」というイメージをまず持ってください。

そうすれば、自ずとタイプ1のほうが金の特徴がよく出ている合金になります。

よって金の特徴(詳しくは下の章でも取り上げますが)である柔らかい!、よく伸びる(展延性がある)!、銅と合金にすることで熱処理硬化性を持つ!というという特徴を考えると、

タイプ1はタイプ4に比べて「柔らかい、よく伸びる、熱処理硬化性がない」といった特徴が見えますし、

タイプ4は逆に「硬い、あまり伸びない、熱処理硬化性がある」といった特徴が見えます。

白金加金という金属は「白金が加わった合金で特徴は大体タイプ4金合金と同じ」とおぼえてください。

 

陶材焼付用合金

陶材に科学的に接着させるための合金です。メタルセラミックス用合金とも言います。

以下の特徴が重要なので覚えておきましょう。

  • 陶材と焼き付く!InやSnが入っている(InやSnはデギャッシングにより酸化膜を作ることができるのでわざと入れている。)
  • 陶材より融点が高い。(PtPdにより高くしている。)
  • 熱膨張係数が陶材より僅かに高い

金銀パラジウム合金

金銀パラジウム合金はまず「金合金」ではありません!!!!金合金なら「金銀パラジウム金合金」っていうはずですよね。

一番入っているのはです。次にパラジウム、銅、金の順番で入っています。

パラジウムと銅が規則格子を作ることにより熱処理硬化性を持つことや、金がJIS規格で12%以上含まれていないといけないことが重要なので覚えておきましょう。

日本では保険適用されているのがこの合金なので、試験でも重要ですが、近年パラジウムの価格が高騰しているので、金銀パラジウム合金も価格が高騰しているのも知っておくと良いかもしれませんね。

コバルトクロム合金、ニッケルクロム合金

金合金より軽めなので、義歯の材料として使われることが多い合金です。(上顎に入れても落ちてこないような軽にするため、と私は最初覚えました。

ただし、コバルトクロム合金、ニッケルクロム合金共に、アレルギー性が高いニッケルが使われていることが問題になることがあります。

ステンレス鋼

基本は鉄が主成分の合金です。ステンレスを英語にするとstain lessとなり「サビがない」という意味になります。

錆びないとは言いますが、ステンレス鋼にはクロムが含まれていてこれが、酸化膜を形成することにより鉄自体は錆びないので見た目的には「サビがない」ように見える合金なのです。

よって5択問題でステンレス鋼の酸化膜は?と問われたらCr2O3と答えましょう

チタン合金

チタン合金は「超弾性」というSF映画に出てきそうな名前の性質を持っています。要するに塑性変形をしない(=永久ひずみが生じない)という性質なのですが、この性質のおかげで、歯科では

  • 矯正のワイヤー
  • 歯内療法のニッケルチタンファイル

に主に使われています。

 

元素別 金属の特徴

合金別に特徴を挙げていきましたが、正直言ってこれはどの教科書や参考書にも載っている情報です。

そこでこのまとめでは「元素別」に見るという新たな視点を提案してみたいと思います。「元素別」に一度見ることによって、合金の特徴を更に深く理解できるので、この方法はおすすめです。

例えば、金(Au)は展延性がある(=よく伸びる)性質がある→金の含有量が高い合金は展延性が高い。

といったような、元素の特徴は合金の特徴に直結します。

それでは「元素別」に見ていくことにしましょう。

金(Au)

gold

金の特徴は以下の様にまとめられます。

  • 展延性がある。(よく伸びる)
  • 融点は1064℃→鋳造時はクリストバライト系埋没材で埋没する。
  • 貴金属であるため、重い
  • 化学的に安定している。イオン化傾向が低い

以上の性質を考えると、金が多く入っているタイプ1金合金は「展延性があるためインレーとして使うと咬合力で変形し適合が良い」、「クリストバライト埋没材を使用する」、「他の貴金属に比べて重い」、「化学的に安定しているため口腔内でも使用しやすい」といった特徴があることを理解する事ができます。

銅(Cu)

銅

銅の特徴は以下のようにまとめられます。

  • 融点が1084℃→パラジウムに比べて融点が低い。合金にすると融点を下げる作用がある。
  • 強化作用が高い
  • 金と合金にすると熱処理硬化性が高い(Au-Cu規則格子)

パラジウム(Pd)

パラジウム

金銀パラジウム合金でお馴染みのパラジウムですが、このような作用があります。

  • 硫化防止
  • 融点が1555℃なので合金にしたときは融点を上げる働きがある。
  • 強化作用
  • 熱処理硬化性(Pd-Cu規則格子)