フッ化物応用!これで完璧(フッ化物歯面塗布、フッ化物洗口など)

フッ化物応用とはなにか?

フッ化物は齲蝕(虫歯、う歯)を予防する薬物です。

フッ化物と聞くとあまり薬物とは感じないかもしれませんが、パーフェクトマスター歯科薬理学でも載っているくらいなので、薬物なんですね。

フッ化物が齲蝕を予防する機序

フッ化物が齲蝕を予防するを機序は大別すると、歯のエナメル質に対する作用と、歯垢中の齲蝕の原因の菌の酸産生能を低下させる作用の2つがあります。歯のエナメル質に対する作用は2つに細分化できます。

フッ化物が齲蝕を予防する機序
  • 歯のエナメル質に対する作用
    • ハイドロキシアパタイトがフルオロアパタイトに置換することによる結晶性の改善
    • 再石灰化によって菌が産生する酸に対する抵抗性を高める作用(臨界pHを上げている)
  • 歯垢中の齲蝕の原因菌に対する作用
    • 齲蝕の原因菌Streptococcus mutansなどに対する抗酵素作用(解糖系のエノラーゼを阻害する作用)によって酸の産生を減らす

なぜフッ化物応用を勉強するか

フッ化物応用は予防歯学や口腔衛生学の分野では非常に重要なところです。

歯科医師国家試験でも歯科衛生士国家試験でも毎年のように1,2問は出されるところなので重要なところです。

暗記すればほぼ100%問題は解けるところなので、絶対に覚えましょう。

フッ化物応用の種類

フッ化物応用には全身的応用法と局所的応用法があります。

それぞれ3つありますので覚えましょう!(正直試験で大事なのは後者のフッ化物の局所的応用法の方ですが。)

フッ化物応用の全身的応用法
水道水フッ化物濃度調整(フロリデーション)
食塩、ミルク、食餌へのフッ化物の添加
フッ化物充填剤の内服
フッ化物応用の局所的応用法
フッ化物歯面塗布
フッ化物洗口
フッ化物配合歯磨剤

フッ化物応用の全身的応用法

水道水フッ化物濃度調整(フロリデーション)

水道水の元となる河川の水の中にフッ化物が天然に含まれていて、水道水のフッ化物濃度が高い地域では、適正濃度になるまで濃度を低下させ、水道水のフッ化物濃度が低濃度の地域では、適正濃度になるまでフッ化物を添加してそれぞれ調整する方法です。

水道水の至適フッ化物濃度

WHOによる至適フッ化物濃度は0.5~ l.0ppmF-です。

厚生労働省令では,水道水中のフッ素濃度を0.8ppm以下に定めています。

水道水に添加するフッ化物

水道水に添加するフッ化物としては以下のものが使われています。

  • ケイフッ化ナトリウム(NaSiF6)
  • ケイフッ化水(H2SiF6)
  • 化ナトリウム(NaF)

食塩、ミルク、食餌へのフッ化物の添加

食塩では添加250ppmF-(mg/kg)が適当とされています。

ミルク、ジュースヘの添加では5ppmF-(mg/L) が適当とされています。

フッ化物充填剤の内服

1日投与が飲料水中のフッ化物濃度0.3ppmF-以下では、年齢別に

  • 6か月~3歳: 0.25 mg
  • 3 ~ 60.15 mg
  • 6 ~ 16歳: 1.00mg

と定められています。

フッ化物応用の局所的応用法

フッ化物歯面塗布

フッ化物の溶液を歯面に塗布する方法です。

フッ化物歯面塗布に使われる薬剤

  • 2%フッ化ナトリウム(NaF)溶液(9000ppm)
  • リン酸フッ化ナトリウム(APF)溶液(9000ppm)
  • 4%フッ化第一スズ溶液(9700ppm)
  • 8%フッ化第一スズ溶液(19400ppm)

フッ化物洗口

フッ化物の溶液で洗口する方法です。毎日法と週一回法があります。

フッ化物洗口で使われる薬剤

  • 毎日法
    • 0.05%フッ化ナトリウム(NaF)溶液(226ppm)
    • 0.1%フッ化ナトリウム(NaF)溶液(450ppm)
  • 週一回法
    • 0.2%フッ化ナトリウム(NaF)溶液(900ppm)

洗口に使われる薬剤はフッ化ナトリウム(NaF)のみが使われる。

フッ化物配合歯磨剤

フッ化物が配合された歯磨剤を使用する方法です。

フッ化物配合歯磨剤に使われるフッ化物

  • モノフルオロリン酸ナトリウム
  • フッ化ナトリウム
  • フッ化第一スズ(フッ化第一スズは輸入品の歯磨剤のみに入っています。)

ここまで出てきたフッ化物の濃度まとめ

フッ化物歯面塗布テキストが入ります。
  • 2%フッ化ナトリウム(NaF)溶液(9000ppm)
  • リン酸フッ化ナトリウム(APF)溶液(9000ppm)
  • 4%フッ化第一スズ溶液(9700ppm)
  • 8%フッ化第一スズ溶液(19400ppm)
    フッ化物洗口
    • 毎日法
      • 0.05%フッ化ナトリウム(NaF)溶液(226ppm)
      • 0.1%フッ化ナトリウム(NaF)溶液(450ppm)
    • 週一回法
      • 0.2%フッ化ナトリウム(NaF)溶液(900ppm)
      フッ化物歯面塗布
      日本では上限は1500ppmである。
      • モノフルオロリン酸ナトリウム
      • フッ化ナトリウム
      • フッ化第一スズ(フッ化第一スズは輸入品の歯磨剤のみに入っている。)

      フッ化物中毒について

      フッ化物中毒には急性中毒と慢性中毒があります。

      急性中毒は一過性の症状がでて、慢性中毒は硬組織に半永久的な症状を残すことが特徴です。

      フッ化物の急性中毒

      フッ化物の誤飲に急性毒性は胃酸のH+とF-がHF形成して起きる症状と、血中Ca2+とF-が反応してCaF2を形成し、血中カルシウム濃度が低下することによって起きる症状があります。

      急性中毒
      • 胃酸のH+とF-がHF形成して起きる症状
        • 悪心嘔吐腹痛下痢などの消化管刺激症
      • CaF2を形成し、血中カルシウム濃度が低下することによって起きる症状
        • 四肢の知覚異常・けいれん・筋強直などの神経症状
        • 循環器症状
        • 呼吸麻痺
        • 心停止

        救急処置はフッ化ナトリウムが消化管を抑制するため、 牛乳グルコン酸カルシウムを投与して、難溶性(吸収されない)のフッ化カルシウムを形成させます。

        フッ化物の慢性中毒

        定濃度の以上の長期間摂取による慢性毒性が発生します。

        斑状歯(エナメル質形成不全、歯のフッ素症)や骨フッ素症(骨硬化病変)を生じます。

        斑状歯の特徴

        • 飲料水中に高濃度( 1~2 ppm以上)フッ化物イオンを含む地域で生まれ育った(6~8歳位まで)に発生する。
        • 一定の地域に限局し、集団的に現れる。
        • 歯面の白濁、あるいは境界が比較的不鮮明で水平の縞をつくりやすく、左右に対称的に現れ、1歯列に数歯以上現れることが多い。
        • 主として永久歯に現れるが、フッ化物が高濃度になると乳歯にも現れる
        • 一般に齲蝕罹思率が低い
        • ある程度以上のフッ化物濃度(3~6ppm以上)では、骨フッ素症その他の症状が随伴してくる。

        斑状歯の分類

        Deandental fluorosisの分類法(1934)が国際的に使われています。

        数字によってスコアリングができるのが特徴です。

        Deadental fluorosisの分類法

        Normal 0

        Questionable  0.5

        Very mild 1

        白濁部が歯面の25%以下。着色は見られない。

        Mild 2

        白濁部が少なくとも歯面の50%前後を占める。着色が見られることもある

        Moderate 3

        白濁部が歯面のほとんどに及ぷ小さな陥凹部(pitting)がれることもある着色が見られることもある。

        Severe 4

        不連続あるいは合流したpitting形成。エナメル形成不全著明。色も著明なものが多い。

        参考文献

        • 『口腔衛生学 2018』, 松久保隆ら, 株式会社一世出版, 2018.
        • 『新予防歯科学 第4版』, 米満正美ら, 医歯薬出版株式会社, 2010.
        • 『歯科国試パーフェクトマスター 歯科薬理学 第1版』, 柏俣正典・田島雅道, 医歯薬出版株式会社, 2019.